多摩丘陵から。

トレイルランニングを中心とした日々の雑記帳です

2022年 信越五岳100マイルレース 完走記

信越五岳100マイルレースに参加してきました。

結果は25時間6分、総合14位と、タイム的には目標の24時間切りはできませんでしたが、順位としてはまずまずの成績となったと思います。

位置づけ
本レースは、私にとって22年度のメインレース。このため、信越五岳後のレースはなしにして、これ一本に集中することとしました。

準備
過去参加された選手のブログやpodcast、雑誌の記事などを読み漁りました。結論、信越五岳は走れる100マイル。高尾に籠って、林道をしっかり走りきる練習をしました。
そしてペース表。23時間、24時間のペース表を作成。事前に配布されたGPXデータから区間ごとの累積標高もざっくりと算出しました。

補給
UTMFでは30分にジェル1本を補給し失敗。序盤から気持ち悪くなって本来のパフォーマンスを出し切れませんでした。この反省から、今回は、エネもちとANDOHを7:3の割合で持ちました。大好きなお餅とあんこ。特にANDOHは、ふつうに美味しい。
そして、カフェイン断。1週間前からカフェインを絶って、レース中もコーラとかは飲まない。それはここぞという時にカフェインピルを投入ししっかりと効かせたいためです。

装備
今回の目玉はパーゴワークスのRUSH UT3。これは言わずもがな、最高でした。ぴったりとフィットしてまったく不快なこと、違和感はありませんでした。シューズは、紆余曲折してUTMFで使用したサロモンのULTRA GLIDE。HOKAを試してみたのですが、私のくるぶしは変形しているため、それが当たって痛い。練習で何度か使いましたが、くるぶしどころか、脛まで痛みが広がり1週間近く走れなくなりました。(これが本番でもアクシデントとなって発生)結局、ULTRA GLIDEにSuper Feetのインソールを入れることで、ホールド感をアップさせることが最適解となりました。

レース前日
実家はレース会場から30kmほどと近いのですが、年老いた両親に負担をかけたくないのと、集中したいので、赤倉に宿をとりました。前日はしっかりと寝て、受付当日(レース当日)も余裕をもって対応できました。その後は赤倉の宿に戻って仮眠。アイマスク、耳栓で3時間ほどしっかり寝ることができました。

レースの組み立て
これまで信越五岳の110Kは参戦してましたが、走れることが祟って、前半から飛ばしすぎて後半つぶれるというスタイルでした。110Kならなんとか完走できますが100マイル、しかも制限時間の厳しい信越五岳ではそれは命取りです。常に、自分に、このペース、心拍でゴールまで行けるのか?という自問自答を繰り返し、本気を出すのは瑪瑙山を下って、飯縄林道に入り、さらにラスト8kmとしました。というのも、今回からこの飯縄林道は5km伸びて登り返すレイアウト。絶対に走れていない選手がいるので最後に大まくりしてやろうという戦法です。

スタート~バンフ(累積19km)
スタート後、石川さんのマイクパフォーマンス、沿道の声援、そして花火でテンションもマックス。周りのペースも自然と早くなるのは必然。体系やフォーム的に、あきらかに見合っていないペースでゲレンデを走っていく選手たち。そんな中、私は心拍140前後を保ち、歩きを交えながら進む。とはいえ、冷静でいようと思っても私もペースが上がったようで、バンフには予定より20分ほど速く到達。80位前後だったようです。

バンフ~アパ(累積52km)
赤池を過ぎたあたりからHOKAの試し履きで痛めた足首に違和感を感じ始めました。そして袴岳を過ぎて、妙高高原に降りた頃には激痛になって歩くことも困難になっていました。これはおかしい!コースわきに座り込みマッサージをしてみる。今回、普段の練習ではしない足首をテーピングとゲータをしていたので、試しにそれを取ってみるとかなり緩和されました。どうやら、痛めた筋が固定されて、痛みが再発されていたようでした。歩けるようになったので、アパまでは途中ストレッチをして全歩きで復調を待ちました。結果、バンフでの貯金は清算。そしてここからゴールまで、寄せては引く、この足首の痛みとの格闘でした。

アパ~黒姫(累積101km)
アパからはだらだらした林道が続きます。関山駅付近で高校時代、陸上部で切磋琢磨した親友が午前3時にも関わらず待機しているため、激痛の足首をおして下ります。親友の応援をもらうと不思議なもので、足の痛みも若干引いたように思えました。しかしトラブルは続くもので、赤倉のゲレンデ急登前の林道で半分寝て走っており、1kmほどコースロストしてしまいました。これはかなり痛かったです。15分以上右往左往してもとのコースに復帰しましたが、かなり前に抜いた選手が前にいたりして心が折れました。とはいえ、黒姫には両親が早朝から待機しているので、そこまで行って、足の具合を見てリタイアするか判断しようと考えていました。

黒姫~戸隠(累積141km)
依然として足首の状態は悪く、我慢すれば耐えられるギリギリの痛みで、私を責めてきます。おそらく、今年に別のレースも予定していて、かつ、両親もいなければ、リタイアしていたでしょう。しかし、背水の陣。1か月ぐらい走れなくなってもOKという覚悟を持っていたことと、年老いた両親の応援を受け、どうしても彼らをゴールに連れて行ってあげたいという強い思いが、リタイアを断念させました。
さぁ、黒姫からゴールまであと30マイル強。ここからが100マイルのスタート。心機一転、得意の林道へ。黒姫林道、西登山道までの林道、戸隠までの牧場・神社周辺は全て走り切りました。ここで、リズムとペースを掴んだと思います。もちろん、足首は激痛が続きますが、ロキソニンを投入しだましだまし進むしかありません。

戸隠~ゴール(累積163km)
戸隠まで胃腸のトラブルはありませんでしたが、少し気持ち悪くなる予感がしたので、ガスター10を早めに投入しました(結果、ゴールまで気持ち悪さなし)。名物の戸隠そばは食べず、これまでのエイドの通り、水分を補給し靴紐を締めなおす程度で出発。
瑪瑙山まで累積430mほど。日影沢~小仏城山と考えるとだいぶ気が楽。これまで110Kで3回アタックしてますが、その時は夜で回りも見えず、全然終わる気配のなかった瑪瑙山も、まだ明るくゲレンデのトレースもはっきりしていると、あっという間に山頂につきました。この登りと下りでマイルの2名の選手に抜かれましたが、動きからラストの林道でパスできると確信は持っていました。
飯縄林道に入ると、数キロは若干の登り基調。ここは、まだ頑張らない。残り8kmほどで下りに転じる。さぁ、ここからが本当の、本当のスタート。心拍140縛りを開放させ、キロ5分を切るペースで爆走する。瑪瑙山で抜かれた選手を抜き返すどころか、110K入賞選手、女子トップ選手も抜いて、登り返しの峠、トレイルを全て走る。
どこにそんな力があったのか?
もちろん足はほぼほぼ使い切っていたが、このあたりは痺れるほど楽しくて、アドレナリンがドバドバ出ていてる。
さらに1名追い抜いた。
ロードに出ると同時に、ゴール会場の照明が見えた。
そして柄にもなく雄叫びを繰り返す。
もう、後ろは追ってこない。
スピードを緩めながらこれまでの道程を思い返す。
足首の激痛との闘いに勝った。しかし、1か月近く走れないかもしれない。競技人生を縮める行為だったかもしれない。でも、これから両親とゴールゲートをくぐることができるんだから、それに勝るものはない。
そんな事を考えていると、ゲート前に待機していた両親が満面の笑みで待っていてくれた。
一緒に手をつないでゴール!
ゴール後はしっかりと握手してこれまで育ててきてくれた感謝を伝えた。

うまくいったこと
補給。
40分に1回エネ餅かANDOH、塩タブを摂取。エイドでバナナやシャリ玉を食べたが、それは計算に入れず。これによりハンガーノックも気持ち悪さもありませんでした。
心拍140台。
後半まで持続的に力を出し切ることができたと思います。
林道特化型の練習。これにより林道を走りきることができ、そこからリズムを掴み、後半の追い上げになったと思います。
保険のレースを設定しない。
100マイルに限ってですが、プロや一部のエリート選手を除き、メインレースに対し連戦は慎むべきです。心が折れたときに、次があると思って、リタイアを選択しやすくなるので。言い訳を作らず、そのレースに全力と尽くす。これが重要だと思いました。
GARMINのコースナビゲーション機能。
Forerunner 955でナビゲーション機能を使いました。あとどれくらいの距離で次の登りが来て、それがどのくらいの距離で、どのくらい登るのかがわかるので、心がまえ、ペースメークが容易でした。まさに手首のペーサー。
課題、原因、対策、効果を回す
仕事でもそうですが、ロングレースになればなるほど、これは重要。トラブル発生は必須。あとはこれをどう対処するか。即席で試行錯誤することが完走に繋がったと思います。

悪かったこと
足首のテーピングとゲータ。普段の練習でしていないことはしない。今回のレースはこれに尽きます。
HOKA。ホールド感、クッション性は抜群なのですが、私の足には合わなかった。悲しく、残念です。

色々と振り返ってみました。この後も、あーでもない、こーでもないと思い返すのでこの記事はちょくちょく加筆したいと思っています。

あー、、、仕事が手につかない。。。信越五岳ロスですね。